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読書日記:『殺す・集める・読む』 推理小説特殊講義 高山宏著 1 

「あれは何だぁ!」
「壁画ですよ!!」
 まるで、戦勝の証のように高々と掲げられたカンテラは、暗闇のなかにひとつの絵を照らし出していた。
   
 それは一種の宇宙を表現しているものなのだろうか?老人らしき裸の痩せた人物が仰向けに寝ている。そして、その上を飾っているのは、明かに星々だ。四方八方に広がるまっすぐ伸びた線から、それは明らかだった。何よりも文化人類学者として、何十年も教壇と現地を往復してきた経験が傍証となる。
  
「あれは、宇宙だ!」
「しかし、チョークで引いたような線がよく今日まで残りましたね」
 助手の声は、まるで空気そのものを楽器にしたように、快く響く。しかし、この三十がらみの女の声がとくに際だって美しいというわけではなく、老教授の心の中が喜びの海で満たされているために、そのように聞こえるだけである。

棘があるなら(If There Be Thorns) n.c アンドリュース作 中川晴子訳 4

  メイドが出してくれた昼食は、コーヒーとサンドウイッチというごく平凡な内容だった。おあつらえ向きの皿に乗せられたパンは端の方が欠けていた。よく見ると、歯形が確認できるではないか。あきらかに、鼠かその他、小動物に囓られた跡だった。
 仕方なく、コーヒーに目を向けるが、パンがこれでは、飲み物のほうにも何が入っているのかわからない。鼠の糞くらいが混入してそうだ。私は、栄養補給は諦めて、本を開くことにした。
 
 長い廊下を歩いている。古びた赤い絨毯を踏んでいると、かつては、貴人が歩いたのかもしれないとあらぬ思いが過ぎった。燕尾服の紳士とパーティドレスの淑女が、演技じみた微笑を浮かべながら歩いている。しかし、幽霊のように足音がしない。貴人というものはそのように躾られているものなのだろうか。
 
 こんな旧い屋敷を歩いていると不思議な思いに心を支配される。しかし、自分の目的を思いだして、各部屋を捜索しはじめる。
  
 そういえば、目的ってなんだろう? 自分で言っておきながら分からなくなってきた。ええいままよ! 私はこの屋敷に興味を持っているのだ。だから散策する。それでもいいではないか。私は、意識を集中させた。
 
 
 屋敷の中に、牛、死体の次ぎは何だろうと思っているうちに、次ぎの部屋を覗いてみると、一台のテレビが動いているのがわかった。だれもいないのに、赤々と番組を映しているその姿は、まるで、躾のために部屋に閉じこめられた子供が、ひとり泣き叫んでいるように見えた。さて、その子供は何を言いたげだったのだろう。














読書日記:涼宮ハルヒの憂鬱 4

 バニーはただ1脚の椅子にドカッと座ると、手で顔を仰いだ。顔をほんのりと赤く染めたその姿はいかにも暑そうだ。
 その様子から出される結論は決まっている。
「お酒を飲んでいますね」
「呑んで悪いか」
まるで、自分を息子かのように態度がぞんざいになっている。客に対する態度は何処の世界に旅だってしまったというのだろう。

 バニーの酔い姿というのは、絆されるものだ。彼女がかつての母親に酷似しているということも忘れて、私はそんなことを考えていた。しかし、男が目の前にいるというのに、大腿を大きく広げた姿はどういうことだろう。まさにあられもないとはこのために使われる言葉だろう。
 目のやり場に困って、視線をバニーから反らそうとしたそのときのことだ。私はとつぜん、ある思いが脳裏を横切った。
 何かを彼女に伝えなければならない。
 しかし、目の前で泥酔するバニーを目の前に、何もできずに立ち尽くす自分を発見するだけだった。
 あらぬ相手に起こった不本意な感情は、まことに不快だった。いつまでも燻る炎に似ていた。ほっておけば火事になるだろうか。もはや、どうしようもない。
 そのような思いに蝕まれながら本を閉じた。
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読書日記:涼宮ハルヒの憂鬱 3

バニーガールがふり返ったとき、私は自分の両目がガラス玉と化してしまったことを知った。その目が受像を拒否するぐらいに、その顔は私にとって衝撃的な映像だったのである。

「どうしたのです? もう一ミリも口を開けませんか? それほどまでに私の顔がおかしいですか?」
 こともなげに、バニーのヤツは言葉を吐く。それだけでなく迫ってきたのだ。
「どうして逃げるのですか?」
 私は思わず背後に仰け反った。そのまま螺旋階段に転がりそうになった。
「お、お前は何者だ?!」
「私は鏡、あなたが見たいと思った顔が映るの」
「あほな、どうして鏡が視たい物を映すと言えるのか?」
「いえ、ちがうわ、私はあなたが一番みたいと思った顔よ」
 
 そんなばかなことがあるか!?
 私は心底それを叫びたくなった。彼女の顔は、母親のそれであり、しかも10代後半から20代前半と思われる相当に若い姿だったのである。私が出会ったこともない母の姿。写真ですらお目にかかったことのないのだ。
 それが目の前に展示されている。
 
 しかし、ここに不思議なことがある。
 直截的に彼女を母親だと見抜いたことである。これが血が為す一種の物語だろうか。生んでから一度も出会ったことがないのに、母は子を見抜くという。
 それが母の持つ力、怖ろしさということだろうか。
 私は目の前でカカと笑う少女に戦慄に近いものを感じていた。
 小さい頃、失禁をしてしまい足首を濡らしてしまったことを唐突に思いだした。あるはずのない温もりは、時として非常な気持ち悪さをもたらす。
 
 バニーはまだ笑っていた。
 






読書日記:涼宮ハルヒの憂鬱 2

 一抹の不安にかられながらも、私は、バニーに従って店を歩いた。ちらちら見える抱き合うカップルから、ここは出会い喫茶と言われる店なのかとあらぬ推測を巡らしたり、ある時には、突然、股の下をくぐり抜ける子供から、託児所なのかと決めつけたりした。
 その証拠に、子供たちを叱りつけたのは、彼らの母親らしかった。
「ママ!」とその子は叫んだのである。
 泣きながらその少年が母親に駆け寄ると、彼女は「警察を呼びますよ!」とすごい剣幕でがなり立てた。しかし、バニーは何処の世界で起こったことと、まったく意に介さない。私のために弁解をしようなどとは露ほどにも思っていなかったらしい。
 
 さらに速度を速める。
 私も負けじと続く。ストッキングで固められた脹ら脛が目に毒だ。黒という色はどうして官能的なのか。ものを見えにくくすることが、どれほどものを美しく魅せるのかと、くだらない妄想に大脳新皮質を浸らせたりした。
 くだらない妄想にうつつを抜かしているとバニーの脹ら脛は階段を上がっていくところだった。
 
 螺旋階段。
 
 バニーは、私のことなぞ、もはや眼中にないといいった風に、駆け上がっていく。
「おい、いいかげんにしてくれ、私を何処に連れて行くつもりだ!?」
 私は、痺れを切らした怒鳴っていた。
「もうすぐですよ、そんなに息を切らさなくても。運動不足ですか?私は汗一つ掻いてませんよ」
 そう言い終わる前から階段を上がりはじめていた。もはや、私の目の前にはハイヒールの足しか見えなかった。それが黒いカタツムリに見えたとき、もうすぐ螺旋階段が終わることを知った。
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読書日記:涼宮ハルヒの憂鬱 1

 ページを捲ると、そこはパチンコ屋だった。
 
 いや、よく見るとそうではない。ただ、銀色に輝く店内は近未来風の空気を醸し出している。それが一種の錯覚を引き起こしたのである。
 「・・・・・・・!?」
 次ぎに、私の耳目を引いたのは、店員と思われる女性の後ろ姿である。頭から生えたウサギの耳、尻にくっつけたような巨大な毛玉。そして、黒いストッキング。それは、足を性的に強調するよう以外の目的を感じさせない。
 どう見ても、バニーガールにしか見えない。

「いらっしゃいませ、当店へようこそ」
 振り向くと、やはりバニーガールの少女がにこやかに口を開いていた。その声は、逆の意味で抑制が利いていて気持ち悪かった。機械的な合成音というわけではなく。あるていど学んだ声優見習いの声のように、非人間的ということである。たしかにわかりやすいし感情の表現も巧みだが、何処かプロの技術とは一線を画している。
 
 不審に思いながらも微笑で答えた。

「こちらの席へどうぞ」
 少女の手首に覆われたカラーは何か、手枷を彷彿とさせて変な気分にさせられた。
(ここはその手の店じゃないよな・・・・・・・)
 少し、不安になって彼女に訊いてみた。
「どんなサービスがあるんだい?」
「当店は懐かしさを提供しております」
 少女は、抑制の利いた笑顔を見せた。

 私は多少なりとも不安を抱きながらも少女の後に続いた。

棘があるなら(If There Be Thorns) n.c アンドリュース作 中川晴子訳 3

 メイドに連れられて屋敷内を歩く。その姿は客というよりは、むしろ連行されていく犯罪者のようだった
 迷路のような建物の中は、まるでそこだけに一世界が凝縮されているかのように、あらゆるものが詰め込まれていた。
 ある部屋には牛が一頭が屯していたのである。当然のように、それに相応しい臭いがその部屋には充満していた。
 また、ある部屋には少年や少女の死体が転がっていた。
「大量殺人か?」
 唖然として立ち尽くすところだが、あたかも目の前に起こっていることがごく自然なことであるかのように、私は、他1秒ほども立ち止まらずに去っていくのだった。

 

棘があるなら(If There Be Thorns) n.c アンドリュース作 中川晴子訳 2

  庭に招じ入れられた私は、オレンジ色に染まるまでページを捲っていた。
 メイドに煎れてもらった茶はすでに水と同じ温度にまで下がっているだろう。
 これから、物語はどんどん進んでいくにちがいないが。私はまだ屋敷にも入っていない。
 地平線に沈もうとする太陽が印象的だった。

 続く(と思う。)

棘があるなら(If There Be Thorns) n.c アンドリュース作 中川晴子訳

 とある店で購入した。10円だった。
 
 ページを広げると、野原を横切る道が見えた。それはスーラ風の点描だったが、やがて、リアルな映像を見せてくれると期待している。

 読み始め。
 その後、逐次、報告の予定。

読書日記:花村萬月著 王国記Ⅳ 象の墓場

 読書中(2009年8月26日~)
読み終わったら感想書きます。

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